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■タイの建物の前にある「小さなお寺みたいな家」あれ何?

2026.08.10

タイで生活していると、家やコンドミニアム、オフィスビル、ホテル、ショッピングモールなど、いろいろな場所で「小さなお寺みたいなもの」を見かけませんか?

立派な柱の上に小さな家が建っていて、花が飾られていたり、ジュースや食べ物がお供えされていたり。

タイに来たばかりの頃は、

「あれ何?」

と思った方も多いはず。

小さいお寺?

鳥の家?

誰か住んでる?

もちろん人は住んでいません(笑)。

実はこれ、タイではとても大切な存在なんです。

日本でいう「土地神様」のようなもの

タイでは一般的に「サーン・プラプーム(ศาลพระภูมิ)」などと呼ばれています。

日本語で分かりやすくいうと、「土地神様」を祀る祠(ほこら)のようなもの。

タイでは昔から、その土地には土地を守る精霊や神様がいると考えられてきました。

その土地に家や建物を建てるということは、もともとそこにいる存在の土地を使わせてもらうことでもあります。

そこで、きちんと祠を用意して、

「こちらに建物を建てさせていただきますので、これからこの土地と建物をお守りください」

という意味を込めてお祀りします。

タイ人にとっては、単なる飾りではありません。

コンドミニアムにもショッピングモールにもあります

よく見てみると、本当にいろいろな場所にあります。

一軒家はもちろん、コンドミニアム、アパート、オフィスビル、ホテル、工場、商業施設など。

かなり近代的な高層ビルの前にも、普通にあります。

最新設備が揃った何十階建てのビル。

その入口には昔ながらの土地神様。

この組み合わせが、なんともタイらしいんです。

タイでは新しいものがどんどん増えても、昔からの文化や信仰が自然に残っています。

毎朝お参りする人もいます

朝、コンドミニアムやオフィスへ入る前に、土地神様の前で手を合わせているタイ人を見たことがあるかもしれません。

毎朝お参りする人もいれば、大切な仕事がある日やお願い事があるときにお参りする人もいます。

お花や果物、お菓子などをお供えすることもあります。

そしてタイらしいのが、赤いジュース。

土地神様の前に、ストローが刺さった真っ赤なジュースが何本も並んでいる光景を見たことがありませんか?

「神様、めちゃくちゃ甘党だな」

と思ってしまいますが(笑)、タイでは赤い飲み物がお供え物として使われることがあります。

ほかにも水、果物、お菓子、料理など、その場所によっていろいろなお供え物があります。

建てる場所も適当ではありません

「空いているところに置けばいいんでしょ?」

というものでもありません。

祠を建てる位置や向き、設置する日などを、僧侶やバラモンの司祭、占星術などに詳しい人に相談して決めることがあります。

建物の影が祠にかからない場所を選ぶなど、さまざまな考え方があります。

つまり土地神様にも、

「この辺でお願いします」

と適当に場所を決めるわけにはいかないんですね(笑)。

2つ並んでいることもあるけど、なぜ?

場所によっては、小さな祠が2つ並んでいることがあります。

「土地神様、2世帯住宅?」

と思うかもしれませんが(笑)、実は祀っている存在が異なる場合があります。

ひとつは土地を守る神様のためのもの。

もうひとつは、その土地にいる精霊などを祀るためのもの。

見た目も高さが違うことがあります。

タイ人にとってはそれぞれ意味のあるものなので、勝手に触ったり、物を置いたりするのはやめておきましょう。

古くなったら普通に捨てる……わけではありません

建物の建て替えなどで土地神様の祠を移動したり、新しいものへ交換したりすることもあります。

ただし、

「古くなったからゴミの日に出そう」

というわけにはいきません。

神聖なものなので、移動や撤去にもきちんとした手順があります。

タイを車で走っていると、お寺の近くなどに古い祠がたくさん集まっている場所を見かけることがあります。

最初は、

「祠の墓場みたいだけど、ここ何?」

と思うかもしれません。

こうした場所に、役目を終えた祠が置かれていることがあります。

タイでは「仏教+昔からの信仰」が一緒にある

タイ=仏教の国というイメージが強いですよね。

もちろん仏教はタイの文化に深く根付いています。

ただ、実際のタイの生活を見ていると、仏教だけではなく、精霊信仰やバラモン・ヒンドゥー的な考え方など、さまざまな信仰が自然に混ざり合っています。

土地神様もそのひとつです。

タイ人にとっては、

「これは仏教、これは精霊信仰」

といちいち分けて考えるというより、生活の中に自然に存在しているものなのかもしれません。

今度、建物に入る前に探してみてください

普段何気なく通っている自宅のコンドミニアム。

毎日出勤しているオフィス。

いつも買い物しているショッピングモール。

入口や敷地の端をよく見てみてください。

今まで気づかなかっただけで、小さな土地神様のお家があるかもしれません。

毎朝そこへ手を合わせてから仕事へ向かう人。

お花を交換している人。

赤いジュースをお供えしている人。

そういう光景を見ていると、

「ああ、タイに住んでいるんだな」

と改めて感じることがあります。

最新の高層ビルのすぐ横に、昔ながらの土地神様。

この新旧が普通に共存している感じも、タイの面白いところです。

ちなみに自分のコンドミニアムで見つけても、

「今日から俺も土地神様にファンタ買ってこよう!」

と急に始めなくても大丈夫です(笑)。

まずは通り過ぎるときに、ちょっと気にして見てみてください。

今までただの「小さなお寺みたいなもの」だったものが、少し違って見えてくると思います。