タイには「ソンクラン」という、街中で容赦なく水をかけられるお祭りがあります。
そして、そのソンクランとは真逆と言っていいほどロマンチックなのが、
「ロイクラトン(Loy Krathong/ลอยกระทง)」
です。
川に小さな灯籠「クラトン」を流し、ゆらゆらと流れていく灯りを眺めるタイの伝統行事。
写真だけ見ると、
「タイって、こんなに幻想的だったっけ?」
と思うくらい綺麗ですがイメージしているものと現実のギャップがあるときも(笑)。

ロイクラトンって何?
「ロイ(Loy)」は流す、
「クラトン(Krathong)」は灯籠のような小さな器という意味。
つまり、かなりシンプルに言えば、
「クラトンを水に流すお祭り」
です。
ロイクラトンは、タイの旧暦12月の満月の夜に行われる伝統行事。
バナナの葉や花などで作ったクラトンに、ろうそくや線香を立てて川や池に流します。
そこには、水の恵みへの感謝や、水を汚してしまったことへの謝意などの意味が込められています。
単に「綺麗だから流している」というわけではないんですね。
願い事をして流す人も
クラトンを流す時には、願い事をする人もたくさんいます。
恋愛、仕事、お金、健康……。
人間、国が変わってもお願いすることはだいたい同じです(笑)。
そしてロイクラトンは、タイではカップルにとっても特別なイベント。
恋人同士で一緒にクラトンを流し、2人のクラトンが離れず一緒に流れていけば、これからも仲良くいられる……なんて言い伝えもあります。
さらにロマンチックなのが、
「ロイクラトンに一緒に行ったカップルは、来世でもまた結ばれる」
という言い伝え。
今世だけでは足りず、来世まで一緒。
なかなか壮大なデートです(笑)。
そのため、ロイクラトンの夜には川辺や公園でたくさんのカップルを見かけます。
2人で願いを込めながらクラトンを流す姿は、タイらしくてとても素敵な光景です。
ただし、
流した瞬間、2人のクラトンが秒速で別々の方向へ。
「えっ……来世は?」
と不安になっても大丈夫。
まあ、川の流れです。
来世のことは来世になってから考えましょう(笑)。
「空に飛ばすランタン」もロイクラトン?
タイのロイクラトンを検索すると、夜空いっぱいにランタンが飛んでいる写真を見たことがある人も多いと思います。
「あれがロイクラトンでしょ?」
と思われがちですが、少し違います。
特にチェンマイなどタイ北部では、ロイクラトンの時期に**「イーペン(Yi Peng)」**というランタンの伝統行事も行われます。
川にはクラトン。
空にはランタン。
これが合わさると、とにかく写真映えがすごい。
スマホのカメラロールが一気にタイ旅行のパンフレットみたいになります。
バンコクでもロイクラトンは楽しめる?
もちろん楽しめます。
ロイクラトンというとチェンマイやスコータイのイメージが強いですが、バンコクでも毎年さまざまな場所でイベントが開催されます。
チャオプラヤー川沿いや公園、ホテル、ショッピングモールなどでもロイクラトン関連の催しが行われるため、バンコク在住の日本人でも比較的参加しやすいイベントです。
ただし、人気スポットはかなり混雑します。
「幻想的な夜を楽しもう!」
と出発したはずなのに、
会場に着く前に渋滞の車内で1時間。
これもまたバンコクです。
ロイクラトンの日に出かけるなら、BTSやMRTなどの公共交通機関を利用できる場所を選ぶのがおすすめです。
クラトンは何でできている?
昔ながらのクラトンは、バナナの幹やバナナの葉、花など自然素材を使って作られています。
最近では環境への配慮から、自然に還りやすい素材を使ったクラトンも重視されています。
せっかく川に感謝する日なのに、
翌朝、川がクラトンだらけ。
では、ちょっと本末転倒。
参加するなら、できるだけ環境に優しいクラトンを選びたいところです。
ロイクラトンの日はデートにもおすすめ
ロイクラトンはタイ人にとって、ちょっと特別な夜。
川沿いのレストランやホテルではロイクラトン向けのディナーやイベントが開催されることもあり、デートにも人気です。
しかも先ほど紹介したように、
「一緒にロイクラトンへ行ったカップルは、来世でも結ばれる」
なんて言い伝えまであります。
「どこ行く?」
「どこでもいいよ」
「じゃあどこ?」
という無限ループに陥っているカップルにも、この日だけは行き先を決めやすいかもしれません。
ただし人気のレストランやホテルは早めに埋まることもあるので、予約は早めがおすすめです。
タイに住んでいるなら一度は体験してほしいロイクラトン
タイで生活していると、仕事や学校、渋滞、買い物などが日常になり、意外とタイの伝統行事に参加しないまま何年も過ぎてしまうことがあります。
でもロイクラトンは、
「タイに住んでいるからこそ、一度は体験してほしいイベント」
のひとつです。
川に浮かぶ無数の灯りを眺めていると、普段見ているタイとはまた違った表情を見ることができます。
そして願い事をしながらクラトンを流したら、あとは静かに見送りましょう。
もしクラトンが3秒で沈んでも大丈夫。
願い事の審査結果ではありません。
たぶん。
タイ旅行で11月頃に訪れる予定がある方や、タイ・バンコクに住んでいる方は、ぜひ一度ロイクラトンを体験してみてください。
一人でも、家族でも、友達でも。
そして恋人と行くなら――
来世の約束までしてしまうかもしれない、タイらしいロマンチックな夜。
きっと「タイに住んでいてよかった」「タイに来てよかった」と思える、ちょっと特別な思い出になるはずです。